「美晴‼初彼おめでとう!」
大げさ過ぎるクラスメイトはカラオケボックスでマラカスとタンバリンを振り回している。
「みんな、ここまでしなくても・・・」
私は、ため息をついた。
さかのぼること、今日の朝。私が沙羅に彼氏ができた。そう報告しただけだったのに・・・
「まじか?!」
最初に反応したのはまた、男子だった。
そして、放課後カラオケボックスで祝おうというのだ。
私は、恥ずかしいからいいと言ったのに‼

そして現在にいたる。

「えー、それでは沙羅ちゃんに挨拶をお願いします」
司会役のクラス委員の子が沙羅にマイクを渡す。
「ウォッホン!」と沙羅が一回咳払いをした。
「えー、」と校長のスピーチのような始まりだ。
「美晴‼初彼おめでとう、」
「あ、ありがとう?」
反射的にお礼を言ってしまう。
「美晴は、本当に天然な子です、アホな子です、でもねこれだけは言わせて!」
私以外のクラスメイト達が一斉に息を吸った
『美晴‼誕生日おめでとう!』

私は、言われた言葉の意味が解らなかった。
しかしそれは現実だとわかると私は自然と涙を流していた。

なぜなら今日は私の誕生日だったから。
星也さんのことで忘れていたが今日は生まれてから18回目の6月16日だった。

「みんな‼初彼記念のパーティーっていうのは!?」私の問いにみんなは呆れた様子でそれは口実と笑った。

「じゃあ、これプレゼント!」
沙羅がラッピングされた袋を私に渡す。
大きさからして本の様だった。
中身を開けると、それは・・・・
『週刊都市伝説』
と書いてある。週刊誌らしかった。

「美晴‼前に都市伝説に興味あるっていってたじゃん?」
沙羅がまるで私の喜ぶ事を期待した様な顔をする。

全身の血液が、逆流するような恐怖を感じた。

週刊誌の見出しには、
『本当にあった‼渋谷怪談コインロッカーベイビー』と。

その文字は私に幸せになってはいけないと言っている様だった・・・