「それでは行ってらしゃい!」遊園地によくいる声の高い店員さんに見送られ
ガガガとゴンドラの動くタイミングに合わせて、私達はゴンドラに乗った。
『バンっ』
と扉が閉まると、星也さんが
「観覧車くらいでいいの?」

と聞いたので、
「いいんです!観覧車が一番小さい頃から好きだったんで」
と答えた。
ここは施設内の遊園地で、高いところが好きな私は、遊園地に行くと必ず観覧車に乗るほど観覧車好きだ。なのでこの施設で観覧車を見つけた時乗りたいと思っていたのだ。
コインロッカーに捨てられたのに観覧車みたいな密室が平気なんて自分でも不思議に思う。

「でもさあ、美晴ちゃんって、大胆だよね」
向かい側の椅子に腰掛けた星也さんが、からかうような口調で言った。
「?何で大胆なんですか?」
私が尋ねるとまじか?!という顔をされた
「いや、普通男性を密室に誘う?」
「!?」
そうだ。観覧車は密室だった。なのにいつものクセで・・・・・
星也さんからみたら私は、とんだ肉食女子じゃないか!恥ずかしい・・・

「わかってる、本当に観覧車が好きなだけでしょ?」
くくく・・・・と笑われる。
「だって、誘うつもりなら色気がもうちょい足りないし!」
「もう!酷い!」
この人は私が色気が皆無なのを知ってていっているんだ。悪かったわね!ぺっちゃんこで‼と叫びたい気分だ。
「でもね、世の中には変な男もいるから密室なんて駄目‼絶対!?」
星也さんは腕で×マークを作った。
「大丈夫ですよー!私は、男性を満足させる代物じゃないですから‼」
私がそう言って、笑うと星也さんはムスッと眉間にしわを寄せた。
「ほしや・・・・さん?」
私の腕が星也さんに引っ張られ、星也さんはぎゅっと私を抱きしめた。