本当にお姉ちゃんが私たちのお母さんなのだろうか。
それなら私はとても幸せだ、と私は思った。

母はとても暴力的だった。
私が言うことを聞かない悪い子だったからだというのは重々にわかっているつもりだった。
だけれど、どうしても周りの子と比べてしまう。
あの子の親ならこんなことで怒らない。
あの子の親ならこんなことも許してくれる。
ほかの家の子だったら、お小遣いをもらって美味しいお菓子がたくさん買える。
ほかの子が、とても羨ましかった。

例えば、私が言うことを聞かないと、母は私を殴った。蹴った。
ガラスのコップを投げつけた。
まだ入っている2リットルのペットボトルを投げつけられた。
夜、裸足で裏の山に連れていかれた。
髪の毛を掴まれて、家中を引きずり回された。

お前がいなきゃ楽なのに。
本当に可愛くない。
死ねばいいのに。
いなくなればいいのに。

まだ大して力もない幼かった私にとっては、虐待ともとれる酷い暴力の数だったと思う。
なにも気にしていないつもりだったけれど、精神的にも、ものすごく辛かった。

私には爪を噛む癖があった。
爪だけでは物足りず、いつからか皮膚まで食いちぎるようになっていた。
気付くとそうしていて、やめようと思ってもやめられない。

私は痛いことが嫌いだから、リストカットはしたことがない。
だけれど、後から知ったことだけれど、爪を噛むという行為も自傷に入るようだ。

私は母を怒らせないように、いつの間にか顔色を伺うようになっていた。