『どうして笑うんですか?』
いつだったかな。
あぁ。あれは、私が入部したての頃。
友達ができなくて、不安で、ひとりぼっちだったあの頃。
誰かに『大丈夫』って言ってもらいたかった、あの頃。
「どうしたの?」
なぜあの日、声をかけてくれたのかは分からない。
さわがしい美術室で、すみっこにいた私に。
先輩に全部話してしまおうと思った。
悩みも、不安も、話し出したら想いがあふれでてしまって。
涙が止まらなかった。
先輩は優しくうなずきながら私の背中をさすってくれた。
その手が、とても温かかった。
ふと、先輩の顔を見ると.....
ーーーーーー優しく、微笑んでいた。
そして、こう言った。
『大丈夫だよ。誰だって最初はそうなんだから。朱鳥ちゃんは朱鳥ちゃんのペースで。ゆっくりでいいんだよ。それを分かってくれる人も絶対にいるから。」
誰かに、『大丈夫』って言ってほしかった。
咲葉先輩は、私の心が見えているかのように、笑って言った。
先輩はいつだって、当たり前のように手を差しのべていた。
美術部の後輩、先輩、同級生、先生ー。。。
それと.....
野沢先輩。
それも....
笑顔で。