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夏が来て、秋が来て、冬が来た。
最後になる行事もすべて終わり、残すは受験。
私は偶然にも、蒼井と同じ高校を目指している。
「咲葉ちゃん!明日頑張ってね!」
冬花ちゃんが言う。
冬花ちゃんは私立の高校に行くため、進学先はもう決まっている。
「うん。ありがとう。あ....冬花ちゃ....」
「天城さんのことなら覚えてるから安心して!」
冬花ちゃんは毎日桜花の名前を言ってくれる。
それが、嬉しい。
まわりの人は少しずつ忘れていってしまったけど。
「.....うん!」
冬花ちゃんが、忘れないでいてくれるなら。
私はそれでいい。
「咲葉、今日行く?」
蒼井が話しかける。
あの日から私たちは名前で呼び合うようになった。
最初は冷やかしとかもあったけど今はもうみんななれたようだ。
『咲葉。』
突然そう呼ばれてびっくりしたけど、それが大切なものを共有しているという証なんだと思ったら、嬉しかった。
流々南はフラれたらしい。本人が直接私に言ったのだ。
『私、フラれたから。』
と。
「うん。明日、本番だもん。」
入試前日。
私たちは『約束の桜』へ向かった。