ドアを開けた先に立っていたのは同じクラスの春川さんで。
「あ.....こんにちは....」
小学校も一緒だったけど話したことなんてほとんどなかったからびっくりした。
お母さんは友達が来たのなんてはじめてだから、嬉しそうに春川さんを家にあげた。
「ごめんね。」
部屋に入ってすぐ、春川さんはそう言った。
「辛い思いさせちゃってごめんね。私、気づけなくてごめんね。」
私のために涙を流して、こう言った。
本当は。誰かに頼りたかった。休み時間も、移動教室も。
一緒にいたい人がいた。だけど言えなくて。
ずっと、辛かった。
ツゥーっと私の頬を涙が伝う。
「野沢さん.....冬花ちゃん....私と、友達になってください。」
手を、差しのべてくれる人がいる。私はこの手をつかんでもいいのかな...?
「友達に、なってください...」
目を見て言われた。
「頼って。」
その言葉は、どんな宝石よりも輝いていた。私の暗い心を照らしてくれた。
私だけに、差しのべてくれた、この手を。私は......
「私と、お友だちになってください。春川さん。」