「勝手に入って来るなんて最低」


「ノックしただろ、怒るなよ」


通学路を、足早に歩く私を、直樹は必死についてくる。


「美桜のお父さんとお母さんにも、お前の面倒を任されてるのは俺なんだぞ、わかってる?」


「直樹に面倒見てもらうなんて世も末だね」


「そんな言い方ないだろ」


直樹は困ったように、声のトーンを落とした。


今日は高校の入学式。桜の咲く道を私と直樹は歩いていた。