昼休みになると食堂に社員が集まる。そうなるとやはり、愚痴・妬み・嫉妬という話もたまに出てくる。そんな声が聞こえてくるのも嫌になる。


「あー、また三浦さん課長からビックな案件任されてる。」

「三浦君に任せておけば確実だし、やっぱり頼りになるわよー。エースだし。」

「でも、もっと若手に任せてあげるだとか、育成に力いれてもいいのにね。」

ワイワイがやがやしている食堂に様々な内容が飛び交う。


「壱君(咲壱の壱だけとってイックン)また何か大きな仕事任されたの?」

職場の近くにある人気のラーメン店で横に並ぶ同僚で同期の夢希(イブキ)が腕組をしながら聞く。夢希は咲壱とは違い医療専門のコンサルタントなので部署が違う。

「そーだな、課長から任せてもらって。ユナップってところなんだけどね。」

「ユナップかー俺の彼女使ってる!お土産期待してるわ。」

少しいたずらに笑う。


「なんもねーわ。すずちゃんとは相変わらず仲良しそうでうらやましーわ。20歳の時からだからもう5年も経つんだな。」

—俺と麗子さんは、俺が入社してからだからもう3年か。ゴールがある二人とない二人。夢希がうらやましすぎてしょうがない。


やっと彼らの順番が回ってきて、扉を開け入店した。

立ち食いのラーメン店にもかかわらず女性客が多いのはこの二人が並んでいるからかもしれない。彼女たちの視線は彼らに釘付けだった。