ぞろぞろ出る生徒の中から、私は彼の手を握り有無を言わずに走り出した。


「え、は?ちょ、」


戸惑ってる声が聞こえるが今はそんな事気にしていられない。


「おい、七瀬!!」


名前を呼ばれ思わず足が止まった。


……名前知ってたんだ。


それだけで嬉しい。


けど、それ以上の事は何も望まない。


「麻生くん…」


初めて呼んだ彼の名前。