「全然出来なかったわ」



何回かやった結果最後に小さなクマのぬいぐるみを落としただけだった。


それが少し悔しかったのか陸玖は落ち込んでいる。



「あ、このクマお前にやるよ」


「え、いいの?」


「いいよ。むしろ小さなやつしかとれなくてごめんな」



「ううん、嬉しいよ!このクマすごく可愛いし。ありがとう陸玖」



陸玖が頑張って取ったものを貰えて嬉しかった。



「そうだ、どっか座らね?ちょっと歩き疲れたと思うし買った飯食いたいし」


「うん、いいよ。あそこのベンチに座ろっか」



中庭の木で日陰になっているベンチに二人で腰を下ろす。


「あー腹減った。美海もなんか食う?」



ビニール袋から買ったものを出しながら陸玖が言う。


「うーん、たこ焼きだけ貰おうかな」