「さて、朕は長州の主と話がある。主も下がれ。」

やった!この空気から解放されるー!

内心コサックダンスで舞い踊りながら下がろうとすると鋭い声で呼び止められた。


「朕は長州の真の主と話があると言っておるのだが?」

すると表向きの藩主が天皇に一礼をして、さらに僕にも一礼をして去っていった。


置いてくなよ…

腹をくくって座り直し御簾ごしの天皇に向き合った。

『お初にお目にかかります。私は長州の主をやっている澄野那津と申します。
それにしても…何故お判りに?』

「…お主は質も量も常人とは違うであろう。怪物と呼ばれる長州の主がさっきの奴であるはずが無い。それにしても驚きだ。」

『驚き?何がですか?』

なんの事か考えあぐねていると天皇は立ち上がり御簾を思い切り上げ、つかつかと近寄ってくる。

そしてあどけなさの残る見覚えのある少年はにっこり笑って言った。


煕「長州の主が恩人殿だとはな。」

『煕?!』

煕「改めて紹介させてもらう。俺は煕。天皇をやっている者だ。ほら、其方も名乗り直せ。」

なんて俺様キャラだ。

しょうがなく名乗り直した。


『澄野吹悠。長州の主やってます。』

煕「微妙に嘘だな。天皇の血筋は嘘を見極める能力がある。正直に言え。」


吹悠は肩を竦めて少し本当の事を言う事にした。


『澄野吹悠、訳あって長州の主の代わりやってます。』


満足そうに煕が頷いた。