いきなり殺意と妖気を出して刀を振り下ろしたのだ。
土「吹悠から盗ったのか!!!」
そっちいいいいいい!
イヤトッテナイヨ。僕のものだよ。
って言えるわけないよねええ!
手を縛られて床に転がされていたもののなんとか間一髪で後ろに仰け反り、避けたのだが最後のツメが甘かった。
“吹悠はツメが甘いよ”
那津の言葉が頭をよぎる。
甘かった。いつもの感覚で避けたせいか面をかすってしまったのだ。もう数センチ下がればよかったのに。
妖気が少しこもったせいで、その刀はいとも容易く呪詛のある面にピシッとヒビが入る。
少しずつそのヒビは大きくなり、ついにはぱかっと割れた。
『あ、あはははは〜。こんばんは〜。』
へらっと笑い猫になり、縄を抜け一目散に外に向かって走って行った。