近「御用改めである!」
威勢のいい宣言の後店主の怯える声が聞こえた。
一階の護衛の奴らを数人が相手し、残りがドンドンと荒々しく二階に登ってきているようで、さすがに梅の間の奴らも気付き、刀を抜く音がした。
キンッキンッザシュッ
刀の音の他に肉を斬る音もした。五感の鋭くなった今、隣の部屋の血の匂いも嫌という程はっきり分かった。
そろそろ行かなくては。
ばっと松の間の扉を開け全速力で階段まで走った。
途中、横をすり抜けた黒い影に戦いに必死な男達は誰も気づいていないようだ。
そして階段は一段ずつ降りる面倒な事はせずに、階段で戦う人の頭上をピョンと飛び越え一気に階下まで降りた。
平助はどこだ?
途中、梅の間の一団の何人かが斬りかかってきたので峰打で昏倒させた。