「……はぁ、」



出てくるのは、ため息ばかり。

だって、私の気持ちはみんなに知られ、塚原さんと話せる機会はことごとく奪われ、結局損をしてるのは私だけなんだもん。



……あーあ。視線の先には、鬼教官。

人気の出てしまった鬼教官。



一人、静かに俯いた。













「篠原さーん」


やっと迎えた、教習の時間。ドキドキして、早く会いたくてたまらなかった。

話がしたかった。


────当たり前のように、塚原さんに教わることができるとばかり、思ってた。









「じゃあ、行くぞ、早く準備しろ」

「待ってくださいよー」




遥かとおく、聞こえる声。

彼は違う生徒と、楽しく車に乗り込んでいた。