だけどもし、私が安全速度で走れていても、ブレーキをかけるのが遅れたらどうなるだろうか。
横付けされた車の隙間から、子どもが出てきたとしたら、ブレーキは、間に合うだろうか。
『お前は反射神経よくねぇだろうが』
『ブレーキは早め早めだ、わかったか』
そうだ、私は反射神経も運動神経も良くないから、きっと間に合わない。
塚原さんは、そんな私を見抜いて、私が事故を起こさなくて安全に運転出来る方法を、叩き込んでいたんだ。
「楽しいからいいや」
ーーそんなの、間違いに決まってる。
塚原さんは、初めから、私のためを思って、叱ってくれていたんですか。