そして、マンツーマンの指導を受ける教官は、事務員さんがランダムで決めるから、毎時間変わるはずなんだ。


悪魔の確率は、15分の1。


一週間のうち、一回当たっただけなら、ラッキー。

二回当たったら、ドンマイ。


なのに、何故。


「───篠原さん、いないんですか、聞こえてないんですか」


こんなにもわたしは運が悪いんだ。

今日だけで、3時間目だぞ、おい。




放たれる低音ボイスは、首筋あたりをゾクっとさせる。


「……はーい、今行きまーす」


人生には越えねばならぬ、壁がある。




私はこの人こそが、壁だと思う。