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「ルーク、少し休もう!?ルークの血がっ……」


頭から、腕から流れる血がルークのシャツを濡らしている。心なしか、息も荒い。


「もう疲れたのか?ご褒美なら後でいくらでもやるから、今は走れって」


ルークはこっちを見ずに、前だけを見てそう言う。
ルークの方が重症なのに、私の手を強く引いてくれている。


こんな時まで子供扱いして…………


医療的な事はよく分からないけど、このままじゃルークが危険だって事はわかるよ………



「本当に、お願いだから………」


触れる手が冷たいのは、寒いから?
そうじゃないとしたら……



そう考えて怖くなり、私は首を横に振る。



大丈夫………大丈夫だよね?
でも………やっぱり、このままじゃだめだ。


「今、止まったら、確実に追い付かれる。いや、もう追い付かれたみたいだな……」

「えっ………?」


ルークは私を背に庇い、剣を構えた。
そして、森の一角を鋭い瞳で見据える。


「何か、そこにいるの…………ッ!!」


何だろう、この寒け………
体の底から冷えていくような、怖い………


「おい、どうした?」


様子のおかしい私を、ルークが振り返る。


どうしたなんて、私が聞きたい。
だけど、すごく体が震えて、しょうがない。



ーボコボコボコ……


すると、奇妙な音とともに、紫の物体が私達の前に現れる。それは、形を持っておらず、しいていうならスライムのようだった。