「私は、お前をずっと、目覚めさせぬように、殺しに来たのだ」
男はゆっくりと片手を上げる。
その手に、禍々しい闇が渦巻いた。
「だから嫌だったんだ、お前と関わるのは…」
「ならなんで………」
剣を下ろさないの??
どうして、ここから逃げないの??
仮面の男の狙いは私。
だったら、この人だけなら逃げられるはずなのに……
「さぁな、俺が聞きたいくらいだっての……。ただ、お前といれば、アイツにたどり着ける気がしただけだ…」
アイツ………?
言葉はぶっきらぼうなのに、やけに優しさを含んだ言い方。
私が、それとなんの関係があるのか、わからないけど……
「この人、なんかやばそうだし……早く行って!私みたいな赤の他人、助けてたらあなたも……」
「ルーク」
すると、男の人は真っ直ぐ敵を見据えたまま、私に話しかける。突然の事に一瞬言葉を失った。
「え………え??」
「俺の名前だ」
は、はぁ??
早く逃げてって言ってるのに、どうしてこの人は自己紹介をし始めるのかなぁ??
「これで、俺達は他人じゃないだろ。俺の名前、知ったんだからな」
「!!」
な………んで……?
なんで、こんな………
「ば、馬鹿!!知らないふりすれば、あなたは…」
助かったかもしれないのに!!
どうしてよ……