『そして……私の……元…へ……』


俺の目の前には扉、俺の後ろには呼び止めるあの大切な人の声。



俺は、基本的に面倒事が、嫌いだ。
いや、好きな奴なんていないだろうけど……


「お前は……俺に何をさせたいんだよ……」


声は俺に旅をさせ、そしてこの世界の終わりと巡り合わせた。まるで、それを求めていたかのように…



「ああーっ!!クソッ、やりゃあいいんだろ!!」


俺は振り返り、いばらに捕らわれた女へと剣を向ける。



「乗りかかった船だ、やるだけやってやらぁ…」


俺はいばらを切り裂く。


ーザシュッ!!!


思いの外簡単に、いばらは壊れ、その体が宙へと放り出される。俺は駆け寄り、両手を伸ばした。



「あ……………」



こんな時に、何考えてんだって思うかもしれないが……


その、靡く髪がまるでこの世界には存在しない太陽のように思えた。紅く、燃える眩しい光のように……


まるで、とんでもない世界に足を突っ込んだ気分だった。