「まじかよ……これ、本物か?」


部屋に入ると、沢山の白い羽が部屋いっぱいに舞う。いばらを避けながら、足を進めると、そこには……


「…………女?」


いばらに体を絡められ、眠る女がいた。
その背中には、白い翼があり、その髪は燃えるように紅い。


「紅い髪………まさか、暁の姫か!!」


本当にいるとは思わなかった。
どうりで、こんな塔に閉じ込めてるわけだ。



決して目覚めさせぬように魔法までかけていばらの防壁まで作って………



「これが、世界の終わりねぇ……」


世界の終わり、なんて言葉は似合わないほど神聖な存在のように思えた。



この世界イルヴァーナに伝わる昔話。
暁の姫目覚める時、イルヴァーナは繁栄の時を終え、終焉へと向かう。


「こんなとこで、百年間も眠ってんのか……」


つうか、寝てんのか??
死んでたり………とか、ありえなくもないな。



俺は恐る恐る女に近づき、その頬に触れた。



温かい………まだ、生きてる証拠だ。
どんな瞳の色をしてるんだろうな……


「世界の終わりなんていうくらいだ、関わらないが吉だな」



俺はそこから離れようと距離をとる。
その瞬間…………



『……行ってはだめ……』

「!!」


俺をいつも呼んでいたあの声が、俺の歩みを止めた。


『彼女を守って………』


守るって、世界の終わりをか………?
俺に、面倒事に首を突っ込めっていうのかよ。