「わたしは‥‥あなただけを
愛しています‥‥」

暗転。
そして、沸き上がる拍手と歓声。

幕が閉まると、わたしを強く
抱き締めていた腕は離れ、
代わりに、頭にポンと優しく手が
置かれた。

「お疲れ様、良かったよ、咲ちゃん」

「ありがとうございます!
先輩のおかげですよー!」

わたしもその言葉に笑顔を返す。

「本当に、咲ちゃんは
演技が始まると人が変わるね」

「へへ、そんなことないですよー!」

なんて、先輩と話していると
突然後ろにぐいっと腕を引かれ
ぎゅっと抱き締められる。