私が見てきた先輩は、きっと架空の人物像だったんだと思う。

先輩はこういう人っていうのを、決めつけていたんだと思う。

だから、これほどにも私の心の傷は深かった。






初めての気持ち、恋、キス…みんな初めてだった。

それを…あんな最低な先輩に全部奪われたんだと。そう思うことにした。

別れて清々した。別れて正解だった。って無理矢理思わせる為に。





それでも、心の傷は深まるばかりで、自分が無くなっていくみたいだった。




そんな時、私を支えてくれたのが奈美。毎日のように、家まで送り迎えしてくれた。

多分…"背中を押したのは自分だから"っていう罪悪感もあったんだと思う。

でも私はそんな奈美に助けられて、ここまで立ち直れた気がする。




私は考えてみたんだ。千夏さんの気持ちを。

もし私が千夏さんの立場だったら、例え本命だったとしても苦しいと思う。だって、先輩のしたことは言わば浮気だと思うから。