「着いた。」
え?
「何ここ?」
「良い所だろ。」
「うん…だけど、こんな所あったんだ。」
近くに海辺があるのは知っていた。現に小さい頃はよく海辺に行って、遊んでいたぐらいだったから。
でも…こんな場所は初めて…
この辺りは、近所の子達とよく一緒に探検ごっこをしていたから、捜索済みだったはず。
なのに…
こんな、こんなに綺麗な場所は初めてだった。
最近転校してきたばかりのこいつが、ずっと住んでいる私よりも、こんな場所を見つけていた。
なんか…悔しいけど、尊敬してしまう。
もしかしたら、不思議な力を持っているんじゃないかって、思ってしまうくらい。
尊敬してしまった。
ちょうど林を通り抜けて…ちょうど良いドームみたいな形に切り抜けられている海辺…
左右にはガッチリと岩で積み重ねられた壁に…前には綺麗な海…
そして後ろには、人の目が通らない林が聳えて…
落ち着く場所…
夕日の時間帯に来たら、きっともの凄く綺麗なんだろう。