「……聡美?」

ひょいっと、突然前に現れた潤の顔。

「わっ!なっ何!?」

余りにも近過ぎて、ビックリした。

「早く行かないと、遅刻すんだけど。」

「あっうん。」

潤で隠れている、直ぐ近くに居る隼人君を少し見るのを避けた。




「ごめん!待った?」

だって、この光景を見るのが嫌だったから…

だけど、見たくなくても、体は言う事聞かない。

私の視線は…自然と二人の姿に向けられたから。




サラサラのストレートの髪に、小さい顔。

小柄で、男の子が"守りたくなる女の子"ナンバーワンって感じ。




「大丈夫だよ。早く行こ?」

「うん♪本当にごめんね?
あれ?隼人の友達?
私、桜井美紀(サクライミキ)です。宜しくね?」

何故か私に差し出された、小さくて可愛い手。




握手しなくちゃいけない雰囲気で、でも躊躇う。

ゆっくり手を伸ばして、ギュッと握りしめられた私の手。

なんで私…わたし…握手なんてしてんの?




目線を上げたその先には、幸せそうに彼女を見ている隼人君の笑顔…。

こんなの分かってたはずだったのに…こんなの初めから…