「聡美!」
えっ!?
「何で居るの?」
駅の改札口前で、フッとした顔で立っている。
「なんとなく」
「意味分からない。」
「あっそ」
「会話になってないから」
「あっそ」
「全く…あんたは"あっそ"しか言えない訳?」
「朝からうるせぇよ。早く行くぞ。」
そう言ってまた私の腕を取って、歩き始めた。
何でいつもコイツは私を、ドキドキさせるんだろう。
ただ私が男にあまり免疫が、ないからかもしれない。
いい加減慣れなくちゃ。
潤のする事に。
「隼人!」
ベンチ君の名前を聞いた途端…ビクッてするくらい心臓が飛び跳ねる。
もう…並木通りに着いたんだ。
「潤じゃん。お前ん家反対方向じゃ無かったっけ?」
えっ…?反対方向?
「お前、誰待ってんの?」
潤の答えに目を光らせて居たのに、話を反らしやがった。
しかも…何その質問。
一番聞きたい質問だけど、一番聞きたくない質問でもある。
それをサラッと口にした。
聞きたくない…そんな気がした。
「あぁ…彼女。」
……ほらね。
私が聞きたくない答えが、返ってきたよ……