「この鎖緩めてよ」


「だーめ」



うわ、めっちゃムカつく。


もう一度言う。


めっちゃムカつく。


どんな罵詈雑言を宵に浴びせてやろうかと考えたとき、私の首筋にひんやりとしたものが押し付けられた。



「え……」



何コレ。


少し動いてその何かを確かめようとしたら、ソレはすぐに離れた。



「危ないよアマナ。間違って切れたらどうするの」


「……は?」



思わず眉をひそめた私だった。


その心境は『何言ってんのこいつ』である。



うん、ちょっと整理しよう。


一番に感じた冷たい感触。


宵の言った危ないという注意。


切れるという言葉。


そして、今現在感じている背中のチクチクと痛みを伴う地味な突っつき。



………あ、刃物?