「そうですかね…周りの方々には呼びづらいとか、どこの人?とか言われただけなんですが…。記憶を探ります…。」


「いやそれ相当珍しがられてるよね。明らかに変わった名前だよねアンタ。」


「そーですかねー…。深く考えます…。」



っと、コイツと立ち話は長くなりすぎて禁物だったんだった。



「まぁ、立ち話もなんだし…中入れてよ。」



「はわっ!そうですね!春とはいえどまだ寒いですからね!どうぞ中に……」


「…?どうした?」



「………」



バタン!カチャ




「はぁっ!?おい!なんでドア閉めるんだ!おい!」



どうしたんだよ!?



ガチャガチャ



ご丁寧に鍵まで……やっぱり嫌になったってわけか。
女の気持ちはコロコロ変わるって言うしなぁ…。
まぁ、しょうがない。悪いのはこちらなんだから。




俺が立ち去ろうとしたその時だった。



カッチャ…



ゆっくりとドアが開く音が聞こえた。


すると、天野川がドアの隙間から目だけを出して話しかけてきた。



「あ…あの……先程は無礼な真似をしてしまって本当にすみません……。」


「…いや、びっくりしただけだよ。やっぱり嫌になった?」


頷くのを覚悟で俺は聞いた。