悠真が教室を出てから、前の席の友達が振り返って話しかけてきた。



「ねえ一花ちゃん、渡会(わたらい)と付き合ってるんだよね?」


「うん、そうだよ」


「悪いけど、渡会はやめたほうが良いよ。

うち、中学から一緒だけどさ。

悪い噂もたくさんあるし」



こんなこと、いろんな人に言われてきた。


渡会は危ないよ、とか。


もっと良い人いるよ、とか。


でも、私は悠真が良い。


誰に何を言われても、悠真以外は考えれないもん。



「うん...ありがとね、心配してくれて。

でも私は大丈夫だよ」


「ほんとに? ならあんまり口出ししないけど」


「うん」



でもやっぱり...


悠真の優しさが皆に理解されてないのは、すごく悲しい。