「解けたー」



 つまらなさそうに課題プリントを投げる魔王様。


 で、採点し始めた私を頬杖で観察……と。



 気になる結果は……花まる。


 途中減点もあり得る、記述式の証明問題で。



「………………復習を、怠らないようにね」



 決まり文句を口にして、いつもむなしくなる。


 胸のモヤモヤを取り除けない……。



 たとえるなら、それは素数の法則を突き詰めるように、


 円周率の終わりを見つけるように、



「難問ね……」


「へー、先生にもわかんない問題とかあるんだ」


「かれこれ数ヶ月も悩んでるの。やれば出来るのに、マジメに課題を提出しようとしないあんたの思考にね!」



 数学がキライなの?


 私がキライなの?



 何もわからない。


 見えない心が……怖いだけよ。