訂正しましょう。


 彼は王子ではなく、魔王です。



「指ほせー、折れそう。髪どんくらいの長さ? 下ろしてみていい? あ、それで今度コンタクトにして来てよ。絶対そそるわ」


「赤ペンでおでこに〝肉〟って書いてあげよーか?」


「つれね。ま、ほろ苦いのも好きだよ? 俺」



 ……おぉう。



 魔王は今日も絶好調。


 口が寂しくなれば、しゃべるしゃべる。


 何枚あるかわからない舌で、なぜか、私について。



 そして恐ろしいことに、魔王の視線には、透明な手が生えているんです……!


 身体をペタペタさわられてるみたいで、観察される私はたまったもんじゃない。



 こっち見ないの!


 プリント見なさい!


 あと先生には敬語!



 勇ましく叱りつけていたありし日の私、南無……。