「……お姉ちゃんが和らげて」


「ダメ……」


「苦しくてたまらないんだ。俺のものになってよっ……!」



 やっと私の背を追い越した弟は、


 私の自由を奪うくらいに、力強くなってた。



「お姉ちゃんも、俺が欲しいって言ってよっ……!」



 知らないうちに〝男〟になってた弟。


 わけわかんなくて、泣いちゃった。


 そしたら、泣かせてごめん、好きになってごめん、でも諦めたくないって、アンタも泣いちゃってさ。


 そんなアンタの泣き顔が、ただ、悲しくて見てられなかったの。


 みっともないくらい、ふたりで泣いたよね。




 ――両親が重い口を開き、衝撃の事実を告げる、少し前の夜のこと。