あれは忘れもしない、私らが中学生のとき。


 片足突っ込んで間もないクセに、思春期爆走しちゃって。


 そう、若気の至りだったの。





「……もう、治んないよ……」


「バカ言ってないで、早く寝なさ、」


「こんなことされて、まだわかんないの!?」



 ……そんな叫ばなくたって、わかってるよ。


 看病しようとした弟のベッドに、押し倒されてることくらい。



「もう絶対に、治らない……」



 それと、弟をしゃべらせているのは高熱の仕業だけど、


 弟がしゃべっているのは、特殊な病の話ってことも。



「女の子だって、1回思っちゃったら……治らないんだ……」



 弟が、私に――姉に恋をした。