「土方巳甘です。よろしくお願いします。」



懐かしく愛おしい声で胸が不思議と暖かくなってきた。


巳甘さんに似てる。


声も名前も。


けど間違えてたら怖くて確信はしなかった。



けど隣にいる龍馬が独り言を言ったことで確信した。



「巳甘が何故入学してきちょるんじゃ?」



僕はいても立ってもいられなかった。



けど生徒会長が勝手に向こうに駆けることはしたらいけない。



「倒幕科生徒会長は前に出て来なさい。」


と伊東先生は僕を前にくるようにと呼んだ。



僕は心を落ち着かせてゆっくりな歩みでステージへと立った。



巳甘さんに近づけば近づくほど心臓がはちきれそうなほど高鳴ってくる。



巳甘さんは昔と違って黒い髪の毛に黒い瞳。


ここで思いっきり抱きつきたい衝動に駆けたけど我慢した。



巳甘さんと向き合う形に立ったら巳甘さんは僕の顔をぼーっと眺めていた。


「では、挨拶をお願いします。」



「はい。僕は倒幕科の生徒会長桂小五郎です。この度は入学おめでとうございます。ここでの…いえ、巳甘さん。」


「…こ、小五郎さん。」



巳甘さんの黒い瞳には涙が溜まっていた



「会いたかったです。」



僕は全校生徒の前だというのにもかかわらず巳甘さんを思いっきり抱きしめた。


むしろその方が良かったかもしれない。



巳甘さんが入場してくる時何人かの男子が巳甘さんを見て頬を赤くしてるのを見かけたのですから。



「小五郎さん…っ。あたしも会いたかった。」



すすり泣く彼女をさらに強く抱きしめた



もう彼女を失わせない。


今度こそ彼女を守るんだ。