「うん…」
(頑張りなさい。あなたは1人じゃないの。あたしもいるし、西郷さんだっているでしょう?)
「うん。甘味の言う通りだね。あたしはもう1人じゃないんだ。」
「そうだぞ。巳甘にはわしらがいるんだからな。」
「うん。」
あたしは二人にお礼を言ってリュックを閉じ深呼吸をした。
あたしはもう1人じゃない。
あたしには沢山の仲間がいるんだから。
そう自分に言い聞かせ前を向いた。
『では、入ってきてください。』
伊東さんの声が体育館の中から聞こえたと同時に西郷さんによって開けられた扉が開かれた。
「……」
体育館の中は思ったより生徒が多かった。
真ん中には赤い絨毯が敷いてあった。
西郷さんが歩き始めるとあたしもそれに沿って歩き始める。
「…女だ。」
「メガネ外したらぜってぇ可愛いって。」
なんて声が左右からきこえる。
あたしは心を落ち着かせて慎重に歩く。
「巳甘ちゃーん!!」
聞き覚えのある声が左から聞こえたから思わず立ち止まって横をみた。
「沖田さん?」
人が並んでてあまり見えないけどかすかに沖田さんが見える。
「巳甘」
「あ、はい。」
西郷さんに呼ばれて止まっていた足を再び動かした。
70mくらいの短い赤い絨毯の道がとても長く感じようやくステージの上へと上がった。
壇上に西郷さんが立つと少しざわめいてたのが途端に静寂に包まれた。
「皆、おはよう。今日からここの生徒になった転校生の紹介をする。」
西郷さんはこっちにおいでと手巻きされあたしは西郷さんにリュックを渡してと入れ替わるように壇上へと立った。
「今日から倒幕科に転入してきました。」
あたしは一つ息を吸って元気よく答えた
「土方巳甘です。よろしくお願いします。」
これからあたしは学校も仕事も恋愛ももちろん両立するんだ。