残されたあたしと甘味は西郷さんに出してもらったお茶と和菓子を呑気に堪能していた。



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時計の針が8時25分を差したところで西郷さんは立ち上がった。



「さて、そろそろ行くか。」



「待って。」


あたしは持ってきた手鏡で最終チェックをしていた。


あたしは少しだけメイクをしてるの。


軽く巻いたまつ毛にピンクのグロスで軽く唇に塗って頬には薄くピンクのチークをしてる。


髪は下ろしていて毛先だけ少し巻いてきた。



あたしはそれがきちんと出来ているか確認して手鏡をしまい立ち上がった。


白いリュックに甘味をいれてあげた。



「さて、行こうか。」


「うん。」


あたしは西郷さんについて行った。


西郷さんに連れて来られたのは体育館の入り口だった。


「緊張するか?」


「も、勿論だよ!」


外からでも聞こえる中のざわめき。


『おいっ!お前ら静かにしろっ!!』



あ、お兄ちゃんの声が聞こえたよ。



そしたら一瞬で静かになった。



お兄ちゃん凄いっ!



『今日はいきなりの朝礼で申し訳ないです。早速本題に入らせてもらいますね。』


この声伊東さんの声だ。



『今日は転校生を紹介して来たいと思います。』


ついにあたしの出番だね。


…待ってなんか忘れてると思ったらあたしは歌手なことすっかり忘れてた。



ね、念のために伊達メガネしとこ。



あたしはリュックの中からメガネを取り出してかけた。



(緊張してるの?)



中にいた甘味にそう言われた。