メイクを落とされ衣装を脱ぎ私服に着替えた。
あたしは金平糖を一粒口にいれた。
「お疲れ様でしたー!」
やっと今日の仕事が終わった。
「巳甘、今日はどうする?」
「今日はお兄ちゃんの家に泊まるから。…というより今日は家に帰るから。」
「そっか。分かった。僕は先に帰るよ。予定はまた連絡するから。明日と明後日はゆっくり休んで。」
「ありがと。」
なんだか今日の吉田は優しいな。
「体調崩されたら僕の仕事が減って給料が減るからね。」
前言撤回。
こいつはいつもと変わらなかった。
優しくなんかない自分の事じゃないの。
「じゃあね。お疲れ様」
「お疲れ様です。気を付けてね吉田。」
吉田は分かった、と返事をして帰って行った。
「さ、甘味。あたし達も帰ろ。」
(そうね。)
あたし達はお兄ちゃんを探しに行った。
体育館を出ると伊東さんがいた。
「伊東さん!」
あたしがそう呼ぶと伊東さんはこちらを見てこっちに歩いてきた。