俺、カルト(17歳)は とある小さな町に住み、老夫婦が営む小さな喫茶店で働かせてもらっている 貧しくも金持ちでもない一般市民。
「遅くまでごめんね、、、。
気をつけて帰るんだよ、カルト君。」
とマスターが心配そうに言う。
「心配ありがとうございます。
じゃあ お疲れ様でした」
俺はマスターに軽く頭を下げて店を後にした。
「はぁ、、、。」
吐く息は白く、腕時計を見れば既に22時を過ぎていた。
道には人っ子一人いない。
昔はたくさんいたのだが、
最近 女や子供を狙った通り魔殺人事件が
相次いで起こっているため 今じゃ全くいない。
「、、、はやく帰ろう。」
俺だって怖くないわけじゃない。
こんな俺を心配して老夫婦が
「住み込みで働いたら」
と言ってくれたが 断った。
それはあそこが居心地が悪いとかじゃなくて、
ただ自分の家を空けていたくないから。
「、、、よし。」
自分の家に着き鍵を探していると、ある路地から大きな物音が聞こえてきた。
「っ!!」
こんな時、俺なら家に入るはず。
しかし何故だか自分の意思とは反対に、足は音のした路地へ向かっていた。
そして 恐る恐る路地を覗く。
「、、、!!」
するとそこには虫の息の女が一人 倒れていた。
慌てて女に駆け寄り抱き起こし
「大丈夫ですか!?」
と尋ねたが女からの返答はない。
このままここに放置なんてできないと思った俺は
その女を抱えて自分の家へ急いで帰った。
思えばここから俺の平凡な なんてことない人生の歯車が、狂いだしたのだろう。