雨雲が見え始めた頃、椿龍は屋上に現れた。


「待たせたな」


椿龍は普通にそう言った。


「別に待ってないけどね」


あたしはそっぽを向き、吐き捨てるように言った。


「あたしの事、何もわかってないのに好きとかいうのやめてよ」


椿龍は黙りこんだ。


雨が降り始めていた。