そんな俺の手を、夏希はぎゅっと強く握る。
俺のドキドキなんて気づいてないように、夏希は俺に笑顔を向けるんだ。
「私、匠のこと、めっちゃ好き」
俺の顔が瞬く間に赤くなったのは言うまでもない。
「……俺も」
聞こえるか、聞こえないか
小さな声でそう言うと、今度は俺の腕に抱きついてくる。
…ちょっと、それはまずいかも。
心臓、壊れそ
夏希顔が上手く見れなくて前を向くと、信号はすでに変わっていた。
「ほらっ、行くぞ」
平静を保とうと、少し大股で歩いていくと、夏希は小走りになって。
…でも、俺の腕を離そうとしなくて。
ふいと、また夏希から顔を背けたとき。
「危ない!!」
聞こえてきたのは、誰かのそう叫ぶ声
それと
キーキーうるさい、ブレーキの音