昼飯を食べ終わると、
「よしっ 次のお店行くよ!」
夏希は急に元気になって、スッと席を立つ。
「おい、待てよ……」
さっきまで疲れたって言ってたのは、どこのどいつだ?
俺も続いて席を立ち、夏希の後を追った。
外に出る寸前、夏希はくるりと振り向いて、俺に手を差し出した。
「はやくっ」
無邪気なその笑顔は、なによりも好きで。
赤くなる顔を隠すように、夏希の手をとって前を歩いた。
「あっちのお店、行きたいな」
そう言って夏希が指を指したのは、道路を挟んだ向こう側にあるお店。
俺たちは、そこに行くために信号が変わるのを待つ。
「ねぇ、匠」
隣の夏希が唐突に声をかけてきた。
「なに?」
俺は少し、冷たく接してしまう。
…手から、俺の緊張とドキドキが伝わっていそうで、強ばる。