その声にすぐに反応して、パッと耳を教室の中に向けて、意識を集中させる。 「……なんで、だよ」 匠くんの、低いけど、落ち着いていて、私のすごく、好きな声。 それはどこか震えているようで、苦しそうだ。 「なんで、こんな……」 よく耳を澄ましてみると ――――鼻を、すする音 君は今、泣いているんだ。 ドクンと、大きく脈打つ心臓。 抑えようとしても抑えられない。 ……分からない、よ 君は、続けて言葉を発する。