ここにはナイフ収集を趣味とする人たちが溢れている。

特に賑わっているわけではない。だけど客がいないことはまずない。

そんな場所に人を刺すため、ナイフを買う人間が行けば、この店の存在すらも責められるだろう。

申し訳ないけど、友のため。

一本のサバイバルナイフが僕の目を引き付ける。“復讐の相方は俺にしろ”と言ってるように思えて買ってしまった。

家に戻り、鞘からナイフを抜き自分の顔を映した。

ヒドイ顔だ。もう人間の目をしていない。ケモノのような目だ。

何かに似ている。
あぁ、陽司を刺したときの佐藤貫の目だ。

僕はあっち側の人間になってしまった。