だけど、陽司はもう…。

想い出も、もう作れない。

陽司の時間は19歳で止まった。
親友を失って、怒りよりも、悲しみよりも…痛いんだ。

何が痛いのかわからない。

内側から爆発しそうな痛みは、涙となって外に溢れた。

陽司…。

本当はわかっている事実。

それを認められない現実。

「陽司…。目を覚ませよ…。今日、飲みにいくんだろ…?ドタキャンなんて許さないからな…。時間を守らないやつじゃないだろ?待ち合わせ場所で待ってるからな。絶対に来いよ。」

僕は病院から飛び出て走った。

バレたら怒られるのはわかってる。

だけと、行かなきゃならない。

本当は病院にいたのが別人で、本物の陽司が来るかもしれない。

そんなことは有り得ない。

わかっていてもわからないフリをした。

腹が痛い。普段なら堪えられないほどの激痛だが、今の僕にはたいしたことはない。

陽司が待っているんだから。