海牙が、軽く右手を挙げた。



「ぼくも、それに乗った。玄獣珠と能力、手放します。同感ですからね。ぼくは、物理も数学も、誰よりも得意です。視界を埋め尽くす数値と数式のおかげでね。


でも、それじゃ、つまらない。チカラはなくていい。本当の自力で、ぼくは世界最高の物理学者になりたい」



鈴蘭がうつむいて、うなずいた。



「わたしは、わかりません。青獣珠を守るように言われてきたのに、それを失くしてしまうなんて。


でも、未来を救うことができるなら、運命のこの一枝をループから解放できるなら、わたしもやります。力になりたい」