鈴蘭が胸に手を当てた。
首から提げた青獣珠が、服の内側にあるはずだ。
「でも、四獣珠を失ったら、わたしたち預かり手の能力も失われますよ? このチカラは、四獣珠を守るためなんだから」
理仁は笑い飛ばした。
「いらねーよ、こんなチカラ。あのね、意外と不便なの。本気になったらさ、勝手に出んだよ。
好きな子とキスしたいとか、おれは思うだけ。相手のほうから勝手にしてくるの。おれが無意識に号令しちゃってるの。
むなしーんだよ、こんなの。おれはマジで恋がしたい。マジの友達がほしい。文徳しかいなかった。寂しかったんだよ!」
いつの間にか、理仁の顔に笑いはない。