海牙が、冷静な目を理仁に向けた。
「きみの具体的な考えは? どうやって運命を変えようというんですか?」
理仁が朱獣珠を拳に握り込んだ。
そのまま握り潰してしまいたいかのように。
関節が白く浮き出すくらい、力を込めて。
「朱獣珠が大っ嫌いなおれだから思い付いたんだ。こいつに願うんだ。運命を変えるための時間跳躍《タイムリープ》をしたい、ってね。代償は、それ相応の質量を持った存在。つまり、こいつだよ」
理仁が拳を掲げた。拳の内側に、朱獣珠がある。
師央が、あっと声をあげた。
「四獣珠を代償にする。つまり、四獣珠を破壊するんですね? 確かに、それだけは、どのループでも試してません。四獣珠を巡る争いが繰り返されてるんですから」