「自分の身はどうなってもいいから、って言ったんだよね。そしたら、経営が奇跡的に回復した。おふくろは倒れて、それっきり。


なのに、親父、平然としてやがんの。怖いよ~、マジで。次は誰が代償に使われるか、わかんないもん」



口調だけは軽いふりをしている。


笑いを保とうとする理仁の顔に、憎しみが透けて見える。



鈴蘭が口元を覆った。



「だから、長江先輩は朱獣珠が嫌いなんですか」



「うん、大っ嫌いだね。こんなもん預かってるって、マジで最悪。あっきーと鈴蘭ちゃんと海ちゃんがうらやましい。四獣珠の怖さ、見ずに済んでてさ。


でも、おれは見てるわけでね。だから余計に、おれは師央を助けたいって思うわけ」