鈴蘭が眉を曇らせた。



「長江先輩のおとうさんって、襄陽学園の理事長ですよね? そういうかたなんですか?」



理仁がため息をつく。



「そーいうかた、なんだよね~。朱獣珠があるからって、後先考えてなくてさ。


おれが中学のとき、一時期マジでヤバかった。経営全部がドミノ倒しになりかけてたの。家政婦に給料払えなくなったりしてさぁ、姉貴と二人でファミレスに世話になったね」



海牙が腕組みをした。



「でも、全面的に立て直しましたよね。今はむしろ以前より経営状況がいいはずです」



「海ちゃん、知ってんだ? 預かり手の家系を調べたって言ってたっけ? 不自然だと思ったっしょ?」



「運がよすぎる、と思いましたよ」