「朱獣珠のほうだね。こいつのせいで、おれの家族、悲惨だし。といっても、師央よりは平和だよ? 師央のシナリオはひどすぎる」



理仁は天井を仰いだ。


言葉を探してるように見えた。


少し間があって、理仁は再び口を開いた。



「おれの親父はさ、普通の人なんだ。能力がないって意味でね。でも、朱獣珠のチカラは、もちろんよく知ってて。若いころから、何度も頼ってたらしい。


そういや、師央以外のみんなは見たことある? 四獣珠のチカラが発動するとこ?」



オレは、ない。


鈴蘭も海牙も、首を横に振った。



「そーだよね。たぶん、それが正常なんだ。預かってるだけで、使わない」