理仁が椅子から立った。


服の内側から、朱獣珠を取り出す。


朱い輝きの宝珠を指先で弾いた。



「どのループでも試してないこと、あるよ。一か八かだけどさ、案外うまくいく気がする」



全員、ハッとして理仁を見た。


オレは理仁に詰め寄った。



「試してないこと? そんなのがわかるのか?」



「ま、これだけは確実にね。その前に一つ、身の上話、していい? おれが朱獣珠を嫌ってるって話。嫌ってる理由をね、聞いてほしくて」



理仁はもう一度、朱獣珠を指先で弾いた。


師央が首をかしげた。



「朱獣珠そのものを、ですか? 能力を持ってることを、ですか?」